
M&Aの仲介手数料の相場は?手数料の種類や両手取引について解説
M&A仲介業者にサポートを依頼すると、仲介手数料がかかります。手数料には、着手金や中間報酬、成功報酬などがあり、発生するタイミングや相場が異なります。両手取引と片手取引の特徴に加え、メリット・デメリットも押さえておきましょう。
2023-02-02
「TRANBI」は、10万人以上のユーザーを抱える国内最大級のM&Aプラットフォームです。案件の掲載数は常時2,500件以上、未経験者によるM&A成約率は約75%に上ります。
無料の会員登録後は、M&A案件の最新状況が自由に閲覧できるほか、希望の事業を地域や業種、予算で検索可能です。気になる事業があれば、事業詳細をみて交渉をスタートできます。
M&Aの仲介手数料とは?

M&Aでは買収費用のほかに、仲介手数料がかかるケースがあります。仲介手数料とは誰が何のために支払うお金なのでしょうか?資金不足でM&Aが頓挫しないように、仲介手数料の内訳をしっかり把握しておきましょう。
M&Aの仲介業者に支払う手数料
M&Aの仲介手数料とは、M&A仲介業者に支払う手数料の総称を指します。M&A仲介業者は、売り手と買い手の間で、マッチングや交渉の仲介、手続きのサポートをするのが主な役目です。
M&Aの各プロセスでは、多くの専門知識が求められます。スキームや従業員の待遇、案件成立後の引き継ぎ方法など決定事項は多岐にわたり、自社だけでは工程がスムーズに進まない恐れがあるでしょう。
経験豊富なM&A仲介業者を利用すれば、案件探しからM&A成約後の統合作業に至るまで、包括的なサポートが受けられます。
仲介手数料の種類
一言で仲介手数料といっても、以下のようにさまざまな種類があります。M&A仲介業者の中には、成功報酬以外の手数料を請求しないところもあるため、依頼前にホームページで確認しておきましょう。
- 相談料
- 着手金
- 中間報酬
- リテイナー・フィー
- デュー・デリジェンス費用
- 成功報酬
『着手金』は、案件発掘のための人件費です。プロセスが一定の段階まで進んだ場合は、『中間報酬』が発生します。不成立に終わっても、着手金・中間報酬は返金されません。
『デュー・デリジェンス費用』は、買い手が買収対象の会社や事業に対して行う買収調査の費用で、買い手が負担するのが一般的です。
『リテイナー・フィー』はコンサルタント料のようなもので、契約期間中は毎月発生します。交渉が長引くほどコストがかさむ点に注意しましょう。
各手数料の内訳をもっと詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。

仲介手数料の相場と計算方法

仲介手数料は一括で支払うのではなく、手数料の種類ごとに発生のタイミングが決まっています。各手数料の相場や成功報酬の計算方法を確認しましょう。
種類ごとの相場と発生のタイミング
仲介手数料の種類ごとに、おおよその相場と発生のタイミングをまとめました。いつまでにどれだけのお金が必要なのかを把握しましょう。
手数料の種類 | 発生するタイミング | 相場 |
相談料 | M&A仲介業者に相談するとき | 無料~数万円(※時間制の場合もあり) |
着手金 | M&A仲介業者と業務委託契約を締結したとき | 無料~数百万円 |
中間報酬 | 売り手と買い手の間で基本合意書を締結したとき | 無料~数百万円(※固定報酬または成功報酬の3割以内が目安) |
リテイナー・フィー | 契約期間中は毎月発生 | 数十万~数百万円/月(※月額報酬×契約期間) |
デュー・デリジェンス費用 | デュー・デリジェンスに着手するとき | 数十万~数百万円(※調査する項目や規模によって異なる) |
成功報酬 | M&Aが成立したとき | レーマン方式で算出 |
レーマン方式による成功報酬の計算方法
成功報酬は仲介手数料の大部分を占めます。金額は、報酬基準額に一定の料率を掛ける『レーマン方式』で算出されるのが一般的です。
報酬基準額は仲介業者によって異なりますが、売り手の企業価値や移動総資産額(株式の譲渡対価+負債総額)などが用いられます。
以下はレーマン方式で使用される料率の一例です。
報酬基準額 | 料率 |
5億円以下の部分 | 5.0% |
5億円超10億円以下の部分 | 4.0% |
10億円超50億円以下の部分 | 3.0% |
50億円超100億円以下の部分 | 2.0% |
100億円超の部分 | 1.0% |
例えば、報酬基準額が11億円の場合、『5億円以下の部分(2,500万円)』『5億円超10億円以下の部分(2,000万円)』『10億円超50億円以下の部分(300万円)』の金額をそれぞれの料率で計算し、最後に合算するため4,800万円となります。
レーマン方式の仕組みについては、以下でも詳しく解説しています。

仲介業者による手数料の違いと注意点

M&A仲介業者の料金体系はどこも同じではありません。仕組みを理解せずに契約すると、「思ったよりコストがかかった」「理想と異なる相手をすすめられた」といった失敗につながります。M&A仲介業者を選ぶ際のポイントを、料金面から解説します。
完全成功報酬型の業者も多い
先に挙げた手数料の種類は、M&A仲介業者ごとに異なります。相談料・着手金・中間報酬・リテイナー・フィーはすべて無料とし、成功報酬のみを受け取る『完全成功報酬型』の業者も少なくありません。
着手金や中間報酬などがない場合、M&Aを成立させない限り、M&A仲介業者のもうけはありません。コストが抑えられる点はメリットですが、ベストな相手ではなく『成約がしやすい相手』をすすめてくる可能性がある点に注意が必要です。
最低保証額が設定されている場合もある
完全成功報酬型の場合、取引規模が小さいとM&A仲介業者は十分なもうけを得られません。人件費や実費などを賄う目的で、成功報酬に最低保証額が設けられているケースがあります。
金額はM&A仲介業者が自由に決定できるため、一概にいくらとはいえません。数百万円から数千万円と幅があり、取引金額の多寡とは無関係に設定されます。
完全成功報酬型の業者よりも着手金や中間報酬がある業者の方が、結果的にコストが安く済む場合もあるようです。
手数料とサービス内容との兼ね合いを考える
一見、着手金や中間報酬がかからない完全成功報酬型は魅力的に見えますが、半ば強引にマッチングが進むケースがあります。他方、着手金や中間報酬、リテイナー・フィーを設けているところは、十分な時間をかけて調査をしてくれる可能性が高いようです。
実際、M&A仲介業者を『コストの安さ』だけで選んだ結果、自社にふさわしくない相手を買収(売却)してしまったという失敗事例もあります。
M&A仲介業者を選ぶ際は、複数社を比較し、手数料とサービス内容が自社に合っているか確認しましょう。
M&Aにおける両手取引と片手取引

M&A仲介業者は、『仲介型』と『アドバイザリー型』に分かれます。M&Aをサポートする点では同じですが、両者の立場や契約形態は大きく異なります。ここでは、『両手取引』と『片手取引』の2種類の契約形態について理解を深めましょう。
両手取引とは?
両手取引とは、M&A仲介業者が売り手と買い手の両方と契約を結び、双方から手数料をもらう取引形態です。
M&A仲介業者が間に入ってマッチングや価格交渉の調整をするため、プロセスがスピーディーかつ円滑に進みやすいのがメリットでしょう。主に、中立的な立場で両者をサポートする『仲介型』のM&A仲介業者で採用されています。
なお、M&A先進国のアメリカでは、両手取引は『利益相反』であるとして、規制の対象となっています。
片手取引とは?
片手取引とは、売り手・買い手のどちらか一方と契約を結び、契約者の利益のためだけに尽力する取引形態です。
『アドバイザリー型』のM&A仲介業者やファイナンシャル・アドバイザー(FA)が採用するケースが多く、手数料は両手取引の約2倍に設定されることが多いようです。
どちらかというと、中小企業では両手取引、大手企業では片手取引が多い傾向があります。
どちらの取引がおすすめか?
両手取引と片手取引には、それぞれにメリット・デメリットがあります。
両手取引では、交渉が円滑に進むように両者の落としどころを探っていきます。交渉が長引きにくい上、M&A成立後も双方が良好な関係を構築しやすいのがメリットでしょう。
一方で両手取引では、売り手が不利になる傾向があります。表向きでは中立の立場であっても、M&Aを積極的に行う買い手は仲介業者にとってリピーターとなり得るため、買い手の意向を優先するケースが少なくないのです。
その点、片手取引には不当な肩入れの心配がありません。ただし、交渉の局面では意見が真っ向から対立したり、相手に対して厳しい条件を要求したりして、双方が一歩も譲らない状態になる場合があります。
『交渉を長引かせたくない』『円満にM&Aを進めたい』『手数料を抑えたい』という場合は、両手取引が望ましいでしょう。
まとめ
M&Aの仲介手数料は、M&A仲介業者が採用する取引方法や料金体系によって異なります。
一見、成功報酬のみでコストが抑えられそうに見えても、最低保証額が設けられていたり、成約を強引に進められたりする場合があるため、料金体系の仕組みをしっかり理解しておかなければなりません。
M&A仲介業者を利用せずに、相手と直接交渉がしたいという人は、『TRANBI(トランビ)』のようなM&Aマッチングサイトの活用も検討しましょう。